研究会活動

平成29-30年 全国証券問題研究会 大会報告

INDEX

平成30年09月07日
〜08日
第58回 全国証券問題研究会 岡山大会
報告担当:片岡利雄弁護士
平成30年03月02日
〜03日
第57回 全国証券問題研究会 金沢大会
報告担当:片岡利雄弁護士
平成29年09月15日
〜16日
第56回 全国証券問題研究会 姫路大会
報告担当:片岡利雄弁護士
平成29年03月10日
〜11日
第55回 全国証券問題研究会 名古屋大会
報告担当:片岡利雄弁護士

平成30年09月07日〜08日

第58回 全国証券問題研究会 岡山大会

報告担当:片岡利雄弁護士

1日目

午前のプログラムは、元裁判官の岡文夫会員(大阪)から入門講座「裁判官的目線からの証券事件」のレクチャーがなされた。今回は、裁判官として25年の経験を有する同会員より、裁判官の視点を頭に入れた証券事件の取り組み方に関して、審理のプロセスに沿った形で非常に有益なお話を頂いた。

午後のプログラムは、地元岡山弁護士会の挨拶に続いて、松田繁三会員(代表幹事・大阪)からの基調報告の後、まず、今般、「新・金融商品取引法ハンドブック」第4版を出版される、桜井健夫会員(東京・東京経済大学教授)から、「投資被害救済の法理論」と題して、証券取引における現在の被害救済理論の到達点に関し、基調講演を頂いた。

続いて、休憩の後、金融庁監督局審議官の井藤英樹氏から、「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本指針)の概要」と題し、検査マニュアルは廃止されるが、司法研究報告書(司法研修所編)でも重視されている金融庁の監督指針は、法令の適用・解釈の明確化や許認可・行政処分等の手続を示したものとして、予見可能性の確保の観点から、その利用は継続し、但し、最低基準(ミニマムスタンダード)が形式的に守られているかではなく、実質的に良質な金融サービスの提供やリスク管理等ができているか(ベスト・プラクティス)との視点から過度にルールベースとなって金融機関の創意工夫を妨げている場合は見直しを行う等のお話を頂いた。

1日目の最後は、新商品に関する事件報告として、竹村直樹会員(東京)より、野村證券NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN事件、片岡(大阪)からWTI原油先物ファンド事件がそれぞれ報告された。

2日目

午前9時30分から、前回(金沢大会)以降、プロジェクトチームを立ち上げて議論を重ね、司法研究報告書(司法研修所編)の重要な論述箇所につき、「批判と活用のための手控え」を完成させたが、三木俊博会員(大阪)がコーディネーターとなり、執筆を分担した安枝伸雄会員(京都)、太田賢志会員(東京)、松田繁三会員(大阪)、山﨑敏彦会員(大阪)との意見交換をまじえながら、同手控えの内容をそれぞれ発表して頂いた。

午前11時からは、判決・事件報告として、千葉晃平会員(仙台)から岡三証券相手の株価虚偽報告事件の判決、三木俊博会員(大阪)、浜田宏会員(福岡)から電話録音記録の文書提出命令の事件について、それぞれ報告がされた。

最後に、次回、第59回は、大分(別府)の地で、平成31年3月8日(金)、9日(土)に開催されることが告げられ、盛会のうちに終了した。

平成30年03月02日〜03日

第57回 全国証券問題研究会 金沢大会

報告担当:片岡利雄弁護士

1日目

午前のプログラムは、安田孝弘会員(姫路)から入門講座「証券事件の基本のキ」のレクチャーがなされた。今回も、前回の若宮会員(京都)同様、ご自身の体験に即して、証券事件に対する具体的な取り組み方の基本を初心者にもわかりやすく、お話頂いた。

午後のプログラムは、地元金沢弁護士会の挨拶に続いて、松田繁三会員(代表幹事・大阪)からの基調報告の後、まず、早稲田大学法学部の渡辺宏之教授から、「司法研究報告書(司法研修所編)をいかに活用するか」とのテーマで、デリバティブ関係訴訟を投資家側代理人が遂行するにあたっての同報告書の具体的な活用のしかたに関する基調講演(1日目)を頂いた。

続いて、休憩の後、各地(東京、京都、神戸、大阪)からの「司法研修報告書」に対する意見・報告が行われた後、勝てる証券取引訴訟を目指し、正木健司会員(名古屋)にご自身が獲得された東京高裁平成29年10月25日判決も題材にして、尋問技術の講演を頂いた。

最後は、各地から計6件の判決和解(仕組債、過当取引、リソー教育・有価証券報告書虚偽記載等)・事件(個人情報保護法開示請求)報告がなされ、1日目のプログラムが終了した。

2日目

午前9時からの今井孝直会員(大阪)の包括的に広く電話録音記録の提出を命じた大阪高裁平成29年12月7日決定(文書提出命令)の報告に続き、9時30分から、早稲田大学大学院法務研究科の黒沼悦郎教授に1日目の渡辺教授に続いて、「司法研修所について」とのテーマで、基調講演(2日目)を頂いた。

午前11時からは、三木俊博会員(大阪)がコーディネーターとなり、「司法研修報告書への対処」と題して、渡辺、黒沼両教授に、田端聡、中嶋弘両会員(いずれも大阪)をパネラーとして、司法研究報告書(司法研修所編)をどう理解し、投資家側代理人としてどう対処すべきか、約2時間にわたり、熱のこもった意見交換をして頂いた。

最後に、次回、第58回は、岡山の地で、平成30年9月7日(金)、8日(土)に開催されることが告げられ、盛会のうちに終了した。

平成29年09月15日〜16日

第56回 全国証券問題研究会 姫路大会

報告担当:片岡利雄弁護士

1日目

午前のプログラムは、若宮隆幸会員(京都)から入門講座「本当の凡人による証券事件入門講座」のレクチャーがなされた。前回の西本会員(横浜)に続き、初心者にもわかりやすい、等身大の、証券事件に対する具体的な取り組み方の話があり、好評を博した。

午後のプログラムは、地元兵庫県弁護士会姫路支部の挨拶に続いて、松田繁三会員(代表幹事・大阪)からの基調報告の後、まず、司法研修所で裁判官向けにデリバティブの講演をしてこられた金融アナリストの永野良佑様から、仕組債とデリバティブにつき「プロから見た商品特性と投資適切性」とのテーマで、仕組債等の商品構造の基礎的理解と説明義務の解釈等に資するご講演を頂いた。

続いて、休憩の後、桜井健夫会員(東京)に、従前、入門講座の一角として担当されてきた金融商品取引事件の理論・判例を鳥瞰する内容を「金融商品取引事件の執務資料」として、司法研修所から刊行されたばかりの司法研究報告の内容にも論及しつつ、ご講演を頂いた後、大阪執行部の勝てる証券取引訴訟・企画➀として、吉岡康博会員(大阪)より、全国研会員へのアンケート集計をもとに「電話録音記録の活用研究」の報告を行った。

2日目

午前9時からの磯雄太郎会員(東京)の「ネットトレードの実例報告」に続き、9時20分から、大阪執行部の勝てる証券取引訴訟・企画➁として、片岡から「敗訴判決の分析と展望」の報告を行った。

午前10時45分からは、勝訴判決・和解報告がなされた。浅井淳子会員(東京)からはリソー教育・有価証券報告書等虚偽記載事件、正木健司会員(名古屋)からは信用取引過当売買事件の各勝訴判決、飯田修会員(東京)からはノックイン投信・仕組債事件の和解、三木俊博会員(大阪)からは外国株取引の説明義務違反の判決、その他SMBCフレンド証券との和解3件、吉田泰郎会員(香川)からは東芝粉飾決算事件、住田浩史会員(京都)からは高次脳機能障害による投資判断能力なしとの診断書が出ている相続人による投信・仕組債事件の和解の、各報告を頂いた。

最後に、次回、第57回は、金沢の地で、平成30年3月2日(金)、3日(土)に開催されることが告げられ、盛会のうちに終了した。

平成29年03月10日〜11日

第55回 全国証券問題研究会 名古屋大会

報告担当:片岡利雄弁護士

1日目

午前のプログラムは、西本暁会員(横浜)から入門講座「凡人による凡人のための証券事件入門」のレクチャーがなされた。時間をかけて丁寧に、初心者にもわかりやすい証券事件の具体的な取り組み方の話があり、好評を博した。

お昼の時間帯には、ランチョンセミナーが開催され、地元名古屋研究会メンバーから「23条照会回答拒否問題への取り組み」と題して、最高裁平成28年10月10日判決(愛知県弁護士会外×日本郵便)の解釈を巡るトピカルな判例報告を頂いた。

午後のプログラムは、地元愛知県弁護士会の挨拶に続いて、内橋一郎会員(代表幹事・兵庫)からの基調報告の後、まず、一橋大学の角田美穂子教授から「投資信託の販売・勧誘に関する私法上の問題点」とのテーマで、ヨーロッパ・ドイツにおけるリテール投資家保護法理の動向に示唆を求めながら、投資信託の勧誘・販売における民事ルールの構築、投資信託委託会社の民事責任の可能性にも論及されるご講演を頂いた。

続いて、休憩の後、特別企画➀として、池田唯一様(金融庁総務企画局長)より、「国民の安定的な資産形成とフィデュシャリー・デューディー(顧客本位の業務運営)」、同➁として、楠本くに代様(金融消費者問題研究所代表)より、「金融製品規制時代の幕開け~MiFID II、MiFIRに学ぶ製造業者のガバナンスと当局の介入」の各ご講演を頂いた。

その後、金融審議会メンバーでもある上柳敏郎会員(東京)から、直近の「金融審議会報告等」のご報告を頂いた。

2日目

午前9時からの上田孝治会員(神戸)の「投資被害と集団的消費者被害回復訴訟制度」のご報告に続き、9時20分から、「集団的被害訴訟の取り組み方~その立ち上げから遂行上の問題点」とのテーマで、三木俊博会員(大阪)をコーディネーター、パネリストとして、松田繁三会員(大阪・レジデンシャルワン事件)、荒井哲朗会員(東京・アーバンコーポレーション事件外)、吉田泰郎会員(香川・東芝粉飾決算事件)の3名でミニシンポジウムを実施した。

午前11時からは、勝訴判決・和解報告がなされた。塚田裕二会員(東京)からはレジデンシャルワン、FOI粉飾決算上場事件の各勝訴判決、石井宏治会員(姫路)からは個別株の説明義務違反の勝訴判決、三木俊博会員(大阪)からは商品混在型被害の和解、中嶋弘会員(大阪)からは仕組債の和解の各報告を頂いた。

最後に、次回、第56回は、姫路の地で、平成29年9月15日(金)、16日(土)に開催されることが告げられ、盛会のうちに終了した。