研究会活動

平成26年 活動報告

INDEX

平成26年04月21日
テーマ:平成25年3月7日・同26日金利スワップ取引・最高裁判決の判例評釈と同判決の射程距離
報告担当:長谷川博啓弁護士、安枝伸雄弁護士
平成26年02月13日
テーマ(1):仕組債訴訟における分析業者の活用について
テーマ(2):証拠として提出した分析結果報告書の整理・考察
報告担当:今井孝直弁護士、古川幸伯弁護士(文責:大濵巌生)

平成26年4月21日

テーマ:平成25年3月7日・同26日金利スワップ取引・最高裁判決の判例評釈と同判決の射程距離

報告担当:長谷川博啓弁護士、安枝伸雄弁護士

報告内容

長谷川博啓弁護士、安枝伸雄弁護士からの報告

金利スワップ取引に関する最判平成25年3月7日・同26日に関する以下の各判例評釈について丁寧な報告・解説があった。

多くの評釈は、平成25年3月7日判決が事例判決であるとして射程距離を制限的に捉えるものであったが、その一方で投資家側の自己責任を強調し、金利以外の株価、為替等を指標とするより複雑な金融商品についても同様に考えられるとするものもあり、今回の報告により、同判決の捉え方を整理することができた。

  • 論考(判例時報2185号64頁)
  • 評釈:青木浩子(NBL1005号30頁)
  • 評釈:三枝健治(判例時報2208号155頁)
  • 論考:松尾直彦(金融法務事情1976号18頁)
  • 評釈:吉川純(商事法務2002号29頁)
  • 評釈:天谷知子(ジュリスト1459号123頁)
  • 評釈:古田啓昌(民事判例Ⅶ106頁)
  • 評釈:加藤新太郎(金融商事判例1431号8頁)
意見交換

以上の報告を前提に、参会者が意見交換を行った。

平成25年3月7日判決は、最高裁判所民事判例集(民集)ではなく最高裁判所裁判集民事(集民)に掲載されているということで、先例的価値はそれほど高くない。同判決はいわゆる事例判決と言え、その射程距離は極めて限定的である。

このことを私たちが担当する個別の証券訴訟で主張するためには、商品特性、リスクの性質、投資判断の困難性、当事者の属性、取引の目的などを摘示し、それを踏まえて当該事案と同判決の事案がいかに異なるかを具体的に比較しながら主張する工夫が必要である。

平成26年2月13日

テーマ(1):仕組債訴訟における分析業者の活用について

報告担当:今井孝直弁護士

デリバティブ分析業者に仕組債の分析を依頼する場合、裁判でどのように活用するかについて、担当する事件で証拠として提出した分析結果報告書(※1)を素材として報告があった。

具体的には、
・分析依頼事項をどのように設定するか
・分析結果をどのように主張書面に反映させるか
という点について、依頼する際の分析業者とのやりとりや分析結果報告書(私的鑑定)を基にした主張書面の作成時に留意した点などを報告していただいた。

この報告を受けて、①金融工学手法による取引分析・リスク分析を私たちの主張・立証活動に活用することの意味(位置づけ)と是非(※1※2※3)、②活用する場合の分析依頼事項の設定内容、③分析結果におけるリスク評価の限界あるいは制約(例えば、重要である「流動性リスク」の評価が含まれていないこと)、④依頼する場合の分析(依頼)事項の設定内容、⑥分析結果報告書を原告主張に援用する場合の注意点(特に「絶対視」してはならないこと)、などについて議論が行われた。また、取引分析・リスク分析を分析業者に依頼する以外に、弁護士自身が、株価・為替変動などの過去データと「エクセル」を用いて分析する手法(※4)があるが、それらの比較なども議論された。

テーマ(2):証拠として提出した分析結果報告書の整理・考察

報告担当:古川幸伯弁護士

これまでに訴訟で提出した分析業者の報告書の内容についての「一覧表」の紹介があった。

仕組債(日経平均連動債、EB、為替連動債)や通貨オプションの事件で証拠として提出された報告書の分析項目を比較したもの。主要な分析項目:理論価格やノックイン確率・満期償還時の期待値(元本割れの程度)などについては、分析業者や依頼弁護士の別異によって大きな違いはなかった。